ベトナム
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ベトナム 障害者の統計

UNESCAPが発行する”Disability at a Glance 2012”によれば、ベトナムの5歳以上の障害者は670万人、人口の7.8%となっており、うち女性の割合は53.8%、また約75%は地方に住んでいる。年齢別に見ると、5~15歳の障害者は障害者全体の17.9%、16~59歳は32.6%、そして60歳以上は49.5%である。また年齢別人口に障害者が占める割合を見ると、5~15歳で障害者が人口に占める割合は7.7%、16~59歳で4.1%、60歳以上では46.5%と半数近くが障害者となっている。障害種別を見ると、身体が29.4%、視覚13.8%、聴覚9.3%、精神16.8%、知的13.6%、重複が17.0%となっている。なおこのデータは、2009年のベトナム統計局・国勢調査が情報元となっている。

寺本(2010:120)の報告には、2005年のベトナム障害者の統計資料が詳しく掲載されている。2005年のベトナムの障害者総数は約530万人で、全人口の6.34%である。農村部に87.27%、都市部に12.37%に暮らしており、家庭単位で見ると、ベトナムの全家庭の7.93%が障害者と暮らしていることになる。年齢別に見ると、16歳未満の障害者が、障害者全体の約16%、16~55歳が約60%、そして55歳以上が約24%となっており、ベトナムでは障害者の多くが労働年齢にいることになる。障害種別を見ると、運動障害29.41%、神経系統の障害16.83%、視覚障害13.84%、聴覚障害9.32%、言語障害7.08%、知的障害6.52%、その他17%となっている。障害原因を見ると、先天性が35.8%、病気32.34%、戦争25.56%、労働事故3.49%、その他の原因2.81%となっており、先天もしくは病気による障害者が非常に多くなっている。

MontとViet Chongの”Disability and Poverty in Vietnam”によれば、2006年に統計局によって実施されたベトナム世帯調査(Vietnam Household Living Standards Survey 2006)は、世界銀行から技術支援を受けた質の高い障害者調査となっている。本調査は、ベトナム8地域(都市と地方を含む)を対象に9,189世帯(39,071人)を網羅したサンプル調査である。障害者に関するデータは、5歳以上の36,701人から集められた。本調査によれば、ベトナムの5歳以上の障害者は人口の15.74%である。年齢別に見ると、5~18歳の障害者は、障害者全体の4.29%、19~40歳は5.03%、41~62歳は25.31%、62歳以上は66.84%となっており、高齢者で障害者の占める割合が非常に高い。また地方の障害者は人口の18.28%、都市部は14.81%と、地方の障害者が多くなっている。

上記3つの障害者データを比較すると以下の表のようになる。

表1:3つの統計データの比較表(障害者人口と年齢別)
調査障害者人口(割合)年齢年齢別の割合(人口[*2]
Disability at a Glance
(統計局・国勢調査2009年)
670万人 (7.8%)5~15歳17.9% (120万人)
16~59歳32.6% (218万人)
60歳以上49.5% (332万人)
寺本実
(政府統計資料2005年)
530万人 (6.34%)16歳未満16% (85万人)
16~55歳約60% (318万人)
55歳以上約24% (127万人)
MontとViet Chong
(世帯調査2006年)
約1,322万人[*1] (15.74%)5~18歳4.29% (56.7万人)
19~40歳5.03% (66.5万人)
41~62歳25.31% (334.6万人)
62歳以上66.84% (883.6万人)
出典:3つの統計表を元に千葉が作成
[*1] 2006年の障害者人口はindex/mundiウェブサイトの全人口8400万人の15.74%とした。
[*2] 障害者の年齢別の割合に占める人口は、各統計の障害者人口に割合を掛けて算出した。

MontとVietの世帯統計では、障害者人口が他と比べ2倍ほど多くなっているが、一方で、5~18歳に占める障害者の数は他の統計と比べ半分程度になっている。また抽出した年齢が若干異なるので一概に比べられないが、就労年齢(16~59歳)の障害者は、09年の国勢調査では障害者人口の32.6%(218万人)だが、寺本のデータでは16~55歳と年齢幅が小さいにも係わらず、障害者人口の約60%(318万人)と非常に多くなっている。他方、世帯調査では19~40歳の障害者は5%(66.5万人)しか認められていない。世界銀行がグローバルに進めている障害統計調査では、概ね何処の国でも障害者の人口割合が15%となっているが、ベトナムでも例外ではなかった。またその中に占める障害を持つ高齢者の割合が多くなるのも世界銀行調査の特徴である。

またこの他に、2009年にMOLISAが実施した障害条例実施調査[*3]によれば、ベトナムでは全世帯の8%が障害者とともに暮らしている。そのうち75%が地方に住んでおり、32.5%が貧困世帯にあたる。この数字は一般世帯と比べると2倍ほど多くなっている。また障害者がいる世帯の82.2%は、生活に最低限必要な食料・住居・衣類しか持ち合わせておらず、51.2%の世帯が障害者のケアや支援に負担を抱えている。さらに55%の世帯が、障害者に雇用を創出するために、就労や生産資本を必要としている。(NCCD 2010:8)

[*1] 脚注:労働・傷病兵・社会省が11市・県で実施した障害条例実施調査(Investigation on the implementation of the Ordinance on Persons with disabilities in 11 cities/provinces in Vietnam, 2009, MOLISA)