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障害者の就労NSOの2007年の調査によれば、15歳以上の障害者1,815,630人のうち、638,994人(35.2%)が雇用されている。これは非障害者で就労している人の割合74.2%と比べると極端に低い。雇用されている障害者の65.6%は、農業や漁業などの一次産業に従事しており、11%の人は小売業や自動車・バイクの修理などを行っている。家族以外に雇用されている障害者で、平均月給が3000バーツ(約7500円)以下の人は全体の約6割に達し、1万バーツ以上の平均月給を受け取っている障害者はわずか5.27%しかいない。タイ人の平均月給は約1万1千バーツなので 、障害者の給与は一般と比べて非常に低いと言うことができる。
一方、エンパワメント局の統計によれば、登録されている障害者のうち未就労の割合は42.56%と高いが、NSOの64.8%より低くなっている。しかし職業「不明」の人と併せると実に9割以上の障害者が未就労か職業が特定できていない。私企業に雇用されている障害者はわずか0.17%であり、政府に登録されている障害者の多くは収入をまったく得ていないか、極端に低いことが分かる。
障害者就労に対する施策と法律1991年の障害者リハビリテーション法で、障害者に対する雇用促進策がタイで初めて設けられた。その後、1994年の労働省令で法定雇用率は0.5%(200人に1人)と定められている。もし雇用義務を満たせなかった場合は、未達1人につき日額最低賃金の半額を365倍した金額を障害者能力回復基金に納付しなければならなかった。ちなみに、障害者の雇用義務は民間業者のみに課せられ公的機関は対象外となっている。この制度の結果、1216人の障害者が雇用され、基金には総額6832万バーツが拠出されており、タイでは大きな成果に繋がったとする評価もあるが、一方でこの法律には罰則規定がなく、努力義務規定でしかなかったので、制度自体に問題があったと批判もされている(西澤2012:109)。 2007年のエンパワメント法では、33条〜40条において障害者の雇用について規定している。第33条では、タイでは民間事業者および公的機関とも、一定の割合で障害者を雇用しなければならないとされている。この一定の割合が、2011年4月の労働省令により100人に1人とされ、さらに残余従業員数が50名を超える場合は、もう1人の障害者を雇用しなければならないとされた。もし雇用義務を満たせない場合は、「最低賃金 ×365日×未達人数」の拠出金を障害者基金に納付しなければならない。障害者の算定基準日は毎年10月1日とされ、納付期限は翌年の1月31日である。未払いの場合、政府は事業者の財産差押命令を発布することも可能とされている。 障害者職業訓練センター障害者を対象とした公立の職業訓練センターは全国で11カ所設立されている。定員は大凡どこも100名前後で、全国で1000以上の障害者が訓練を受けていることになる。訓練内容は、洋裁や機会の組立、テレビやラジオの修理、美容などが多い。 また民間団体で障害者の職業訓練に実績が高いのが「レデンプトリスト身体障害者職業訓練校」である。毎年200名程度の障害者を入学させ1~2年かけ、テレビ・ラジオの修理だけでなく、ウェブサイトの作成やビデオ編集、英語なども教えている。本校の卒業生は100%の就職率を誇っている。 |