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障害関連計画と政策

第4次障害者エンパワメント国家計画(2012~2016)(The 4th National Plan on the Empowerment of Persons with Disabilities B.E. 2555-2559)の現状分析によれば、第1~3次障害者国家エンパワメント計画(1997~2001, 2002~2006, 2007~2012)を通し、タイでは障害者に対する法制度が一定程度整備された。また教育や就労など、障害者の社会参加や社会保障などに進展が見られた 。しかしながら、本計画書は同時に、障害者はいまだに社会から深刻な差別や偏見を受けており、十分な権利が保障されていないと報告している。そのため、第四次計画では「障害者が自分たちの権利を十分に享受し、社会で独立して幸せに生活できる」ことを大目標に掲げている。

第四次計画では、4つの使命と9つの目的、そして5つの戦略が規定されている。4つの使命とは、1)インクルーシブ社会の構築、2)障害者のエンパワメント、3)障害当事者団体の活動とネットワークの強化、4)障害と障害者に対する創造的な態度の促進、である。また9つの主な目的は、障害者が差別無く権利を享受できるようになる、障害者のエンパワメントを疎外するような法律や制度を改正する、障害者の医療・教育・職業訓練・防災システム・スポーツなどへのアクセスを保障する、財政基盤を確保する、障害関連の研究が政策決定に活用される、などである。

そして4つの使命を達成するために、5つの戦略が次のように定められている。戦略1:障害者と介助者の完全で平等なアクセスの促進。障害者の権利を完全かつ平等に保障するために、すべての障害種別のニーズに合わせた支援を提供すること、障害者の権利アクセスを促進するためのキャンペーンや広報、情報発信活動を、すべての社会セクターが支援または参加するように奨励すること、など6つの手段が記載されている。戦略2(障害者にとってアクセスブルで利用しやすい環境の促進と技術・情報の開発)には、自治体を含む政府機関は、障害者の生活の為に、アクセシブルで使いやすい製品や設備、福祉機器そして技術を提供する義務がある。政府機関は、アクセシブルで利用可能な情報通信技術、遠隔通信サービス、コミュニケーション支援技術を提供する義務がある。また政府は、すべての社会セクターに同様のことを実施するように奨励する義務がある、など5つの手段が記載されている。 戦略3(障害者と介助者のエンパワメント)には、障害者が個人のニーズに合わせ、医療や保健サービスを利用できるようにエンパワメントする。障害児には、出生もしくは障害が発見された時から教育支援を実施する。障害児は、他の生徒と同等に、自分のニーズに合わせて提供された教育を受けられるようにする、など10の手段がある。戦略4は、障害当時者団体の活動とネットワークのエンパワメントについて、戦略5は、障害者に対する創造的な態度の促進について記載されている。またこれらの成果を評価するための指標や目標がそれぞれ戦略ごとに記載されている。

またこれまで実施された第1次~3次国家障害者エンパワメント計画は以下の通りである。

第一次国家障害者エンパワメント計画(1997~2001)(The 1st National Plan on the Empowerment of Persons with Disabilities B.E. 2540-2544; so called the National Plan on Rehabilitation B.E. 2540-2544) 。主な目的は障害者が尊厳を持って生活できるように能力を最大限に生かせるようにすること。医療、教育、職業訓練、リハビリテーションの四分野に力を入れていた。

第二次国家障害者エンパワメント計画(2002~2006)(The 2nd National Plan on the Empowerment of Persons with Disabilities B.E. 2545-2549; so called the National Plan on Quality of Life Development B.E. 2544-2549) 。障害者の生活の質を高めることに目標が変更され、特に社会への啓発、障害者の社会参加、権利擁護を目的とする法制度の整備などが重視された。

第三次国家障害者エンパワメント計画(2007~2011)(The 3rd National Plan on the Empowerment of Persons with Disabilities B.E. 2550-2554; so called the National Plan on Quality of Life Development B.E. 2550-2554) 。首相を議長とする障害者国家エンパワメント委員会が設立された。これまでの障害関連の取組みをさらに促進するための体制と構造改革が強化された。第三次計画中に制定された障害関連法は以下の通りである。1)エンパワメント法(2007年)(the Empowerment of Persons with Disabilities Act B.E. 2550)、障害者教育法(2008年)(Education for Persons with Disabilities Act B.E. 2551)、精神保健法(2008年)(Mental Health Act B.E. 2551)