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タイ障害者教育の現状と歴史障害者教育の現状教育省、基礎教育委員会事務局によれば、2010年度では、76の特殊教育センター、62の特別支援学校、16,910のインクルーシブ教育プログラム にて、255,087人の障害児童が在籍しており、その内訳は以下の通りである。
表からも解るように、インクルーシブ教育プログラムに所属する障害児童が圧倒的に多く、すべての知的障害児はインクルーシブ教育で授業を受けている。タイでは、1999年を障害者の教育年度と教育省が発表し、さまざまなプログラムを提供して来た。インクルーシブ教育は、2004年からパイロット・プロジェクトとして390校で8,670人を対象に始められた。本事業の目的は、地方の学校を効果的なインクルーシブ教育学校にすることであった。このプロジェクトは、その後、順調に拡大し、2010年には16,910校で実施されるにまで至った。年度毎の増加は、以下の表を見れば明らかである。
しかし急激な増加による弊害も政府内で指摘されている。例えば、公立学校のアクセシビリティと資源の不足、関係者の(障害者に対する)不十分な知識、障害児童に対する差別などである。確かに、障害児を健常者と平等な環境で教育するには、物理的なアクセシビリティはもちろん、先生の障害者に対する理解を高め、偏見を減らす研修プログラムなどが必要になると思われるが、表2に記載されているように、パイロット・プロジェクトとしても初年度に390校を対象とし、次年度以降も、数千の学校が同年度にインクルーシブ教育プログラムを実施しており、教員養成が行き届いていないことなどが容易に想像できる。 障害者教育の歴史中西の資料によれば、1952年に教育省が障害児教育を開始している。教育省は、1977年の国家教育計画に基づき、視覚・聴覚・知的・学習障害児および病弱児に対し特殊教育を実施している。 しかし、視覚障害者に対する教育は、民間セクターによりもう少し早く開始されている。米国のコーフィールド宣教師(視覚障害者)が1939年に自宅に盲学校を開設し、その後、タイ盲人のための協会 (Foundation for the Blind in Thailand)として発展している。またバンコクにも盲学校が開設されている。1994年時点で盲学校は、国立で2校、私立で3校あり中学生まで教育が行われている 。また1978年には、コンケンでタイ人の視覚障害者、プラヤット・プノンオン氏がタイ・キリスト教盲人協会 (Christian Foundation for the Blind in Thailand: CFBT)を設立し、点字の指導等、視覚障害者に対する教育が開始された。 聴覚障害には、1951年に教育省がパイロット・プロジェクトを実施している。その後、国立初の聾学校としてバンコクにセトサティアン聾学校が開設された 。2年の幼稚園部、6年の小学部、各3年の中高部に300人の生徒がいる。1992年で全国に国立聾学校は9校、民間学校は6校確認されている。 身体障害児の学校は1955年に開始されている。知的障害児の教育は1957年に開始され、1965年にラジャヌクン学校が始められた。1996年時点で、知的障害児を対象とする特別支援学校が3校存在し、その他の5校では統合教育が行われている。 参考図書
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