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障害者の統計国家統計局 (National Statistics Office: 以下、NSO)の資料によれば、フィリピンでは国勢調査が1995年、2000年、2007年、2010年に実施されているが、そのうち障害者に関する統計は1995年、2000年、2010年の3度である。 最新の国勢調査(2010年)によれば、フィリピンの障害者人口は144万3千人で人口のおよそ1.57%となっている。 2000年の国勢調査 (1.23%)より障害者の人口比率は増加している。2010年の統計を年齢別に見ると、0~14歳までの障害者は18.9%、15~64歳が59% 、65歳以上が22.1%となっている。また5~19歳と45~64歳の年齢層に障害者が多い。世帯別に障害者を見ると、10~14歳の障害児を持つ家庭が7.2%、次いで15~19歳が6.9%、5~9歳が6.7%、そして50~54歳が6.6%となっている。 障害種別は、2000年の国勢調査から利用できる。それによると視覚障害者が50.2%と圧倒的に多く、その内訳は弱視37.4%、片目盲8.1%、全盲4.7%である。その他は、いずれかの四肢の欠損8.5%、四肢まひ5.9%、聴覚障害者(失聴・難聴含む)12.9%、精神障害者7.1%、知的障害者7.0%、言語障害5.4%、重複障害2.9%となっている。
国勢調査の他に、2005年にWHO/UNESCAPによるICFの基準を適用した障害サンプル調査が実施されている。この結果は、軽度障害を感じている人が28.19%、中度障害だと14.85%、重度障害だと2.65%となっており 、障害者の割合はNSOの統計をはるかに上回っている。 森(2010a)は、マニラ首都圏の4市(マカティ、ケソン、パサイ、バレンズエラ)で興味深い障害者の標本調査を実施している。標本となった障害者の数は403人である。この調査結果を障害種別や市別で整理すると以下のようになる。
標本を抽出する際、森は市に登録されている障害者を対象としており、登録外の障害者は必然的に調査対象外とされている。その結果、本調査対象者は、低所得障害者の割合が高いだろうと森(2010a)は推測している。なぜならば、障害者が市に登録する理由は、彼らがなんらかの福祉サービスを受けたいと願うからであり、それ以外のメリットが少ないと考えられるからだ。ということは、福祉サービスがなくても生活できる障害者が登録するインセンティブは低いので、必然的に支援が必要な低所得障害者が登録することになる。標本障害者は経済活動人口のみを対象としており、低くても15歳から、30~50歳代が中心となっている。 本調査によれば、肢体障害者の原因でもっとも多いのはポリオ(41%)であり、次いで脳卒中(17%)、下肢切断(13%)となっている。視覚障害者は弱視と全盲の割合はほぼ半分で、全盲の割合が若干高くなっている。聴覚障害者の57%は先天性で、両耳とも聞こえない人がほぼ6割、残り4割はどちらかの耳に一定程度の聴力が残っている(森2010a)。 *本調査をもとにした教育と就労に関する統計は「フィリピン:障害者の教育」「フィリピン:障害者の就労」参照のこと |