インド
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障害者の教育

NSSOの2003年のサンプル調査によれば、インドでは一般の識字率が74.04%であるが、障害者の場合、非識字率が大凡55%であり、特に知的障害者の非識字率は87%、視覚障害者も74~77%と極めて高い。高校もしくはそれ以上の教育を受けている障害者はわずか9%であり、特に農村部は7%と、都市部の18%に比べ低くなっている。

表1:教育と障害種別に見る5歳以上の非識字者と識字者の数(単位:人/1000人)
障害種別非識字者識字者
初等教育まで中等教育高校以上
知的障害866106243
精神疾患59121510289
全盲7731414541
弱視7381724543
聴覚障害6462317050
言語障害6702355738
運動機能障害447292136124
障害者全体54725410692
出典:Disabled Persons in India, NSS58th round (July-December 2002), Report No.485 (52/26/1)より作成

1995年の障害者法・第26条によれば、政府や地方自治体は、18歳までの障害のある児童に対して、適切な環境において無償教育の提供を規定している。また普通学校における障害児童の統合教育の推進、特殊教育が必要な場合は特別支援学校を設置し、障害児は、居住地に関わらず通学可能な環境を与えられなくてはならないとの規定がある。27条においてはノンフォーマル教育の規定、第28条では、障害児童が教育において平等な機会を与えられるように、新たな支援機器や教育用具の設計や開発調査を推進することも定められている。しかしNSSOの調査結果から分かるように、この規定が十分に履行されているとは考えづらい現状がある。

また2006年の「障害者に対する国策(National Policy for Persons with Disabilities)」・21条によれば、2010年までに6~14歳までのすべての障害児に8年間の初等教育を提供できるように、Sarva Shiksha Abhiyan (SSA)プログラムが実施されている。SSAでは、視覚障害者に対する読書支援機器、点字盤、録音図書も含め、障害児に必要な学習支援機器を提供することになっている。また生徒のニーズに合わせた遠隔教育、特別学校、自宅学習、地域リハビリテーション学習など、様々なプログラムが用意されている。また15歳から18歳の障害児にも、継続して無料で教育が受けられるように障害児の統合教育 (Integrated Education for Disabled Children: IEDC) スキームが実施されている。

またNGOなどの民間支援団体も障害児に必要なサービスを提供している。例えば、ニューデリーにある障害者支援団体(Saksham Trust School)では、視覚と重複障害児を対象に学習・就労・生活スキル訓練を提供している。障害児童は同団体の支援をうけ、点字やコンピュータ、支援機器やソフトの使い方を習得し、普通学校に入学可能な技能を身につけた段階で、普通学校に通学するシステムとなっている。しかし、普通学校への通学後も、学校側から障害児に対するアクセシブルな教科書や教材が提供されることはないため、政府に代わりSakshamが学習支援機器の提供を行っている。また、Sakshamが支援を行っているいくつかの学校では、試験は小学校4年次からコンピュータで受けることができるようになっているが、3年次までは点字による試験に限定され、学校や政府が用意すべき点字プリントやコンピュータなどは、Sakshamが提供しなければならない。